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今回のテーマは「ブルゴーニュ(Bourgogne)白の三大AOC」。
この記事は、2023年2月7日現在の情報を基にしています。
ブルゴーニュの概要
ブルゴーニュ地方はパリから東南に150kmほどのところに南北に広がる、オーセールとディジョンからリヨン近郊に至るまでの約 230kmに及ぶ細長い産地です。
温暖な「海洋性気候」のボルドーとは逆に、内陸のため、夏は暑く陽光に恵まれ、冬は厳しい寒さの「大陸性気候」が主体となっています。
そのためヴィンテージによる変動が大きく良い年は3年に1回位”と言われています。
ブドウ栽培面積は約4.5万ha(ボジョレー含む)で、フランス全体のAOCのぶどう畑の4.5%を占めています。
年間に約1億9400万本が生産されています。
これは全世界のワイン生産量の0.5%に値します。(2015−2019年調べ)
ブルゴーニュ主要地域
ブルゴーニュは大きく5つの地域に分れます。
北から順に下記の通り。
- シャブリ
- コート・ドール
- コート・シャロネーズ
- マコネ
- ボジョレー
ボジョレーの終りはリヨンに程近いです。
この中で、最も重要な地域は、ロマネ・コンティやモンラッシェを有する世界で最も偉大なワイン産地の1つに数え挙げられる「コート・ドール」です。
「コート・ドール」とは「黄金の丘」の意味。
収穫後に葡萄の木の葉が紅葉し丘全体が“黄金色”に染まること、高価なワインを産出する“宝の丘”であることが、 その名の由来と言われています。
ブルゴーニュのAOC
ブルゴーニュのAOCは84あり、フランスのワイン産地の中で一番多いのですが、それは“畑”単位までAOCが設定されているためです。(ボルドーは“村” 単位まで)
AOCのクラスは、 上位から順に下記の通り。
- Grand Cru(特級畑:「畑名」を名乗れる、 生産量全体の2%)
- 1erCru (1級畑:11%)
- ヴィラージュ (村名: 34%)
- リージョナル (地域名:53%)
ブルゴーニュの土壌
ブルゴーニュの土壌はボルドーとは異なり、川の堆積作用ではなく、太古に起こった地殻変動(断層)によるものです。
土壌・地形が畑毎に複雑かつ微妙に形成されており、同じ村の中でも畑の個性が異なるといった事情から、AOCがこのように細分化されているのです。
ブドウ品種
「品種のブレンド」を特徴とするボルドーと違い、ブルゴーニュでは、赤ワインも白ワインも「単一品種」から造られます。
単一品種ゆえ、畑の個性の違いやヴィンテージの良し悪しが、如実にワインに表われるわけです。
赤ワインは「ピノノワール」、 白ワインは「シャルドネ」 が、 基本的な葡萄品種です。
但し、マコネとボジョレーの赤ワインは「ガメイ種」で造られます。
白ワインにはピノブラン、アリゴテも使用されます。
ブルゴーニュの生産者
ブルゴーニュのワインの生産者は、タイプ別に「ドメーヌ」と「ネゴシアン」があります。
- ドメーヌ:畑を所有または賃借し、自らがブドウを栽培、醸造し瓶詰めに至るまで一貫して行う生産者(ボルドーの「シャトー」に相当)。 農家が母体の小規模生産者が多い。
- ネゴシアン:畑は持たず、農家から葡萄あるいはワインを買い、醸造もしくは瓶詰めする生産者。大手が主流。量的な安定性でドメーヌより優位。生産量の約7割。
※大きなネゴシアンでは自社畑も有しているところがあります。通称「ネゴシアンのドメーヌもの」と言います。
また、畑の所有者が基本的に“複数”であるのが、 ボルドーと異なるところ。
同じ畑から生まれるワインでも生産者の個性・作風が反映されるため、微妙に異なるものとなります。
※少数ですが、「モノ・ポール」と言われる、1つの生産者が独占している畑もあります。
ロマネコンティ、ラターシュ、クロ・ド・タール等です。
コート・ドールについて
コート・ドールはディジョンの南方から展開するブルゴーニュの中心地で、ざっと南北50km × 東西 2km の細長い丘陵地帯です。
北部は赤ワインが有名な「コート・ド・ニュイ」、南部は赤ワインの他、白ワインで有名な「コート・ド・ボーヌ」の2つの地区に分かれます。
コート・ド・ニュイは東向きの比較的斜度のある丘、コート・ド・ボーヌは南東向きのなだらかな丘が全般に広がりますが、向きや斜度は畑ごと微妙に異なります。
土壌構成のベースは石灰質が多い「粘土石灰質」 土壌ですが、場所により泥灰土、砂、 小石、鉄分等も入り混じっています。
このため、コート・ドールでは、 実に多様な “テロワール” が生まれているのです。
テロワールとは、気候、土壌、向き、 傾斜から微生物に至る「畑の外部環境」のこと。
テロワールの違いにより、 土地の個性が造られます。
ブルゴーニュの白ワインの三大AOC とは?
ブルゴーニュの白ワインは、主にシャルドネから造られる辛口タイプ。
白ワインの名産地は、「コート・ド・ボーヌ」です。
この中でも、シャルドネに合う「泥灰土」に恵まれたAOC 「ムルソー」、「ピュリニー・モンラッシェ」、「シャサーニュ・モンラッシェ」の3つのAOCから、 世界的に有名な白ワインが生まれます。
尚、これらのAOCは「村名 AOC」と位置付けられます。
シャルドネ種の特徴
シャルドネ種はブルゴーニュが原産とされる白葡萄品種。
早熟で、泥灰土が最適ですが、気候や土壌への適応力が高く世界各地で栽培されています。
ブルゴーニュ、シャンパーニュの他、カリフォルニアで傑出したワインを生み出しています。
“個性が無いのが個性”と言われるほど「ニュートラルで癖の無い品種」のため、栽培地や醸造法(特に「樽の使用」)によって、そのキャラクターは様々に変わります。
三大AOCとは?
- ムルソー:樽熟成からくる酸化熟成香 (シェリー香) が印象的な、 酸が柔らかくボリューム感 (“まったり” とした肉付き)のあるワイン。 GrandCru は 「無し」。
- ピュリニーモンラッシェ:酸が美しくエレガントなバランスのとれたワイン。 フローラル、 ミネラリー、スモーキーな風味が印象的。 香りが華やかで繊細。 GrandCru は 「4つ」。
- シャサーニュモンラッシェ:蜜っぽいトロピカル・フルーツの風味が中心のワイン。ピュリニーほどではないものの、しっかりとした酸を伴った、やや粘性のある円やかで柔らかな味わい。 GrandCru は 「3つ」。
今回のおすすめワイン
品種比率:全てシャルドネ100%)
- 2019年 ドメーヌ ・アルベール・グリヴォ ムルソー・プルミエ・クリュ・ペリエール
ムルソーで最上と評される区画『クロ・デ・ペリエール』を所有する名門ドメーヌ。
ドメーヌ ・アルベール・グリヴォ ムルソー・プルミエ・クリュ・ペリエール 2019 価格:18,980円 |
- 1999年 ルイ・ラトゥール ピュリニー・モンラッシェ プルミエ・クリュ
200年以上も続く家族経営の、ブルゴーニュを代表するつくり手。
ブルゴーニュ2大白ワインのひとつといわれる「コルトン・シャルルマーニュ」の生みの親。
価格:10,230円 |
- 2018年 トーマス・モレ シャサーニュ モンラッシェ プルミエ・クリュ・シュヌヴォット
偉大なる父ベルナール・モレのもとで研鑽を積み、DRCモンラッシェの栽培責任者という経歴を持つトーマス・モレのドメーヌ。
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