フランスワイン備忘録:ボルドー(Bordeaux)三大地区とは?

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「縁いろのワイン」では、ワインの知識向上に役立つ情報を発信しています。

今回のテーマは「ボルドー(Bordeaux)三大地区」

この記事は、2023年1月27日現在の情報を基にしています。

目次

ボルドー三大地区とは?

ボルドーは、フランスの南西部、大西洋沿いに広がるワイン産地。

アキテーヌ地方のジロンド県に位置しています。

気候は海洋性 気候で、比較的温暖です。

栽培面積は約11万haで、フランス最大のAOCワイン生産地。

生産者は約6,600軒(2020年現在)

AOCの総数は 61 です。

ボルドーには、ガロンヌ川、ドルドーニュ川、そしてこの2つが合流して出来たジロンド川の3つの川が流れています。

「月の港」から見たガロンヌ川

大きく分けて、下記3つの地域があります。

  • 左岸:ガロンヌ川の下流からジロンド川の上~中流の左岸
  • 右岸:ドルドーニュ川下流の右岸
  • アントル・ドゥ・メール:ガロンヌ・ドルドーニュ両川に挟まれた地域

高級ワインが生まれるのは「左岸」と 「右岸」です。

中でも、「左岸」の代表地区『メドック』と「右岸」の代表地区『サンテミリオン』『ポムロール』を合わせて、ボルドー赤ワインの三大地区と言います。

品種について

ブルゴーニュは単一品種(赤:ピノノアール/白:シャルドネ)ですが、ボルドーでは、赤も白も基本的に複数の葡萄品種をブレンドしてワインが造られます

使用される品種は「左岸」と「右岸」で異なります。

なぜなら、ガロンヌ川、ドルドーニュ川が水 源の山脈から運んでくる土壌が異なり、地域ごとに土壌構成が異なるため、土壌に適した品種が違ってくるからです。

地域・地区別の品種構成は、主に以下のようなイメージとなります。

左岸:砂利と粘土

  • 赤:カベルネ・ソーヴィニヨン(主体)、メルロ、カベルネ・フラン、プティヴェルド
  • 白:ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカダル

右岸

  • サンテミリオン地区:石灰質と粘土
    →メルロ(主体)、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン
  • ポムロール地区:粘土
    →メルロ(主体・サンテミリオンより主役)、カベルネ・フラン
    →有名なペトリュスは、ほぼメルロ100%
    →シュバルブランは、メルロ50%、カベルネフラン50%

ボルドーで使用される赤ワイン用主要品種

ボルドーワインは、基本的に複数のブドウ品種をブレンドして作ります。

それぞれのブドウの概要は、次の通りです。

カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨン Cabernet Sauvignon

伝統的なボルドー地方の品種

晩熟で、特に「左岸」の暑く乾燥した砂礫質の土地に最適です。

病気に強く、安定した収穫量をもたらします。

カシスやスパイスを中心にアロマが強く豊かで、長期熟成に向いたタンニンが豊富です。

ピノノワールほどではありませんが、酸もほど良くあります。

熟成を待つと、複雑で豊かな調和のとれたブーケを楽しむことができます。

メルロ Merlot

ボルドーで最も多く栽培されている品種(黒ぶどうの54%)。

早熟な品種です。ボルドーの土壌のどこでもその品質を開花させますが、特に最適なのは、粘土質の冷たく湿った土壌です (カベルネ種より水分を必要とします)。

プルーン、土や動物的な香りを中心とするアロマは開きが早く、タンニンは少なめです。

酸が穏やかで、ボリューム感のある味わいで、果実味が豊 かです。

メルロだけでは“野暮ったさ”が出るため、通常はカベルネ種もブレンドします。

カベルネ・フラン Cabernet Franc

ボルドー(「右岸」の方が多い)で栽培されている他、ロワールでも栽培されています。

カベルネ・ソーヴィニヨンに比べ軽快でタンニンは少なめですが、ワインに爽快な酸をもたらします。

アロマはカベルネ・ソーヴィニヨンに似ていますが、ヴェジタルで繊細なアロマが出がちです。

ボルドーに関する豆知識

ブルゴーニュと比較すると面白いです。

シャトーとは「城」ではなく、「ワイン醸造所」

大資本が多く、醸造所の建物が豪華だったことに由来。

でも、右岸は質素・・。

ボルドーでは畑の所有者と造り手は一致します。

ブルゴーニュは必ずしも一致しません。
※一致するものは「ドメーヌ」物、不一致なものは「ネゴシアン」物と 呼ばれます。

ボトルの形は「いかり肩」 ブルゴーニュは「なで肩」

注ぐ際に澱を溜まり易くするために、このような形が定着しました。

コルクは長く~5.5cm 。(ブルゴーニュ~5cm)

コルクは1年に1mm劣化するため、30年くらいでリコルクが必要となります。

セカンドワイン

格付シャトーで一般化しているセカンドワインは、若木(樹齢およそ 10 年以内)、天候不良等で質が劣る葡萄で造ったワインです。

今ではサードまであるところもあります。

メドックの格付1級シャトーのセカンドは格付ワインに匹敵する出来栄えです。

ブルゴーニュでは例外で、質の低いワインはネゴシアンに売るかAOCを格下げします。

エチケットの記載

ワインの説明で「カベルネ・ソーヴィニヨン○○%、メルロ○○%、・・」と記載されているのは、栽培面積の比率です。

実際には、年毎にブレンド比率は微妙に変わります。

バリックとは?

よく耳にする「バリック」とは、225リットルの新樽のこと。

「バリックを掛ける」というのは、この樽で熟成させること。

これで熟成すると、オークの風味、バニラの香りが強く出ます。

ボルドーは「ワインの女王」

ボルドーは「ワインの女王」と呼ばれますが、その由来には諸説あります。

  • 女王の国 英国で人気が高い
  • 一時、英国領になった歴史的経緯
  • 香りの立ち方がブルゴーニュに比べ細い

などなど。

AOCの不思議

赤ワインしか認められていないAOCで白ワインを造ると制度上、“ACボルドー”となってしまいます。

例をあげると、Ch.マルゴーの白ワイン「パヴィヨンブラン」はACマルゴーどころかACメドックも名乗れません。

ただ、2023年から「AOCメドック・ブラン」がワイン法で認められるというニュースもあります。

理由として考えられるのは下記2点ではないかと言われています。

  • 世界的な白ワイン人気の高まり
  • 気候変動の影響などを考慮したリスク分散の必要性という経営戦略

おすすめのワイン

品種表記:カベルネソーヴィニヨンCS、メルロM、カベルネフランCF、プティヴェルドPV

2015年 Ch. du moulin rouge シャトー デュ ムーラン ルージュ( M50%、CS40%、CF10%)

非常に歴史の長い由緒ある家族(リベロ家)が1732年に設立した10代以上に渡り経営する家族経営のシャトー。
サン・ジュリアンの南に位置するキュサック・フォール・メドック村などに点在する畑から収穫。
ジロンド川河口のミクロクリマを受けた非常に恵まれた立地条件のもと丁寧に造られたワインは、国内外で高い評価を得ており、数々の賞を受賞しています。
「私のお気に入りのブルジョワ級のワインの1つである。」と、ロバート・パーカー氏も高評価するおすすめの1本です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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