フランスワイン備忘録:ボルドー右岸地区とは?

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今回のテーマは「ボルドー右岸地区」

この記事は、2023年2月3日現在の情報を基にしています。

目次

ボルドー右岸地区とは?

ボルドー右岸地区は、ドルドーニュ川右岸にある世界遺産の街「リブルヌ」 の周辺に位置します。 

そのため、「リブルネ地区」とも呼ばれています。 

地形は左岸とは異なり、 深い谷に沿って緩やかな 丘陵が続きます(海抜 100〜130メートル)。

土壌は川が運んできた粘土質が主体ですが、 粘土石灰質、 粘土・砂質、 粘土・砂礫質であったりします。

赤ワインの産地で、粘土質に適したメルロを主体に、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドして造ります。

 この地区には10 のAOCがありますが、 代表するAOCは「サンテミリオン」「ポムロール」です。

その他の下記にあげたようなAOCは、この2つのAOCに品質こそ及びませんが、ニュアンスが似ているため「衛星地区」と総称されます。

  • リュサック・サンテミリオン
  • ラランド・ポムロール
  • フロンサック

 また、畑の面積が比較的狭い小規模生産者が多く、メドックにあるような豪華な “シャトー (建物)”はまずありません。 

この地域は昔、交通の便が悪かったため、メドックのワインに比べ知名度が低く、フランス国内では長年「田舎のワイン」の地位に甘んじてきました。

ワインは輸送が大変なパリではなく、 陸路を通じベルギーやスイスに運ばれていたのです。

サンテミリオンやポムロールのワインが脚光を浴びてきたのは、2000年くらいからで、それにはロバート・パーカーの功績がありました。 

また、 “ミスター・メルロ”と呼ばれるコンサルタント 「ミッシェル・ローラン」の登場で、ワインの名声が一躍高まったシャトーがあるなど、ボルドーの中でも注目されている地区です。

ドルドーニュ川

ポムロールについて

ポムロールはボルドーで一番小さい地区

メルローの比率が80%近いのが大きな特徴です。

 サンテミリオンに隣接しており、粘土質土壌がとても多い地域です。 

場所によっては土壌に鉄の酸化物を含みます。 

西側は砂利が多くなっています。

粘土質は雨水を蓄え冷たく湿った土壌のためメルロが適しており、メルロの割合がとても高いのです。 

ポムロールのワインは、酸が穏やかでボリューム感があり果実味が豊かで、絹のようにしなやかなタンニンを伴います。

黒い土、けもの、紅茶の香りが印象的です。

ポムロールの代表的なワイン

ポムロールの有名なワインと言えば、なんと言っても「ペトリュス」です。

ペトリュスの畑は丘の最上部に位置し、分厚い粘土層で酸化鉄も豊富なため、“赤い粘土”と呼ばれています。

通常メルロだけでは上品さに欠けるため一定割合のカベルネ・フランをブレンドします。

ところが、例外的にペトリュスは概ねメルロ 100%で造られます

また、一般的にカベルネ・フランのブレンド割合はサンテミリオンより低くなってます。 

畑が小さく生産量が少ないため、近年の人気も相まって価格もかなり上がっています 

参考までに、平均生産本数はラトゥールの40万本に対し、ペトリュス 4.5万本、ル・パン 0.6万本です。 

メルロー

ポムロールの有名シャトー

ポムロールにはサンテミリオンとは異なり、格付制度はありません

ただ、慣習上の有名シャトーとして以下の10 シャトーが挙げられています。 

  1. ペトリュス
  2. ラ・フルール
  3. トロタノワ
  4. レ・ヴァンジル
  5. ラ・コンセイヤント
  6. ガザン
  7. セルタン・ジロー (現オナンザ)
  8. ヴュー・シャトー・セルタン
  9. プティ・ヴィラージュ
  10. ラ・フルール・ペトリュス 

また、これ以外にも、 ミッシェル・ローランの影響で評価が上がっているシャトー(ルパン、クリネ等)があり、それらの価格は以前に比べ驚くほど高騰しています。

サンテミリオンについて

サンテミリオンの畑は、リブルヌの街を取り囲む形で広がっています。

全般に、 土壌は「粘土が 多い石灰質」がベースです。

次の2つの地区から、高品質なワインが産出されます。 

  • コート地区“丘の上” の意味で、街周辺の高台に広がる地区。石灰質土壌が豊富
  • グラーブ地区:ポムロールに近い地区で、文字通り「砂(グラーブ)」が多く、酸化鉄を多く含む土地もあります。 

粘土質に適したメルロ以外にも、カベルネ・フランも多く植えられ使用されています。

そのため、ポムロールより酸やタンニンがしっかりしており、サンテミリオンの特徴は「メルロとカベルネ・フランのハーモニー」にあると言えます。

味わいの特徴は、タンニンがアタック(口に入れた最初のイメージ)からビロードのように味わいの後半まで一様に広がっていくことで、タンニンが後半にジワッと広がる左岸の口中展開とは異なります。 

サンテミリオンの各付け制度

サンテミリオンにはメドックと同じような公式格付け制度があります。

メドックの1855年の格付けの約100年後(1954年)に実施されました。

AOCの監督当局であるINAOが創設(メドックは地元のボルドー商工会議所が創設)。

各付けは下記2階級からなります。

  • 第一特別級(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ Premier Grand Cru Classe)18シャトー
  • 特別級(グラン・クリュ・クラッセ Grand Cru Classe)64シャトー

70 近くある 「AOC サンテミリオン・グラン・クリュ」を名乗ることができるシャトーから、より高品質のシャトーが「プルミ エ・グラン・クリュ・クラッセ」に選ばれます。

1855年の格付けと大きく異なるのは、見直しが行われることです。

これまで、1969年、1986年、1996年、2006年、2012年の6回改訂されています。

 プルミエ・グラン・クリュ・クラッセは上級のAとその下のBに分れており、「A」は「オーゾンヌ」「シュヴァル・ブラン」の2シャトーが長年君臨していましたが、2012年の見直しで「パヴィ」「アンジェリュス」が加わりました。

また、グラーブ地区の生産者は少ないこともあり、グラーブ地区からは「シュヴァル・ブラン」「フィジャック」の2シャトーのみで、残りは全てコート地区のワインです。 

サンテミリオン

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ A (4シャトー)

  1. シャトー・オーゾンヌ
    著名ワインコンサルタント・ミシェル・ローラン氏を迎え、名実ともにサン・テミリオン最高峰のワインと称されるまでになった。
  2. シャトー・シュヴァル・ブラン
    補助品種としての使用が多いカベルネ・フランを主体とし、ボルドー右岸ワインの特徴であるメルロを補助品種にするという世界的にみても非常に珍しいセパージュで造られています。
  3. シャトー・アンジェリュス
    7世代目であるユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレの努力により、2012年に行われた格付け見直しの際に、見事プルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに昇格。
  4. シャトー・パヴィ
    1998年にジェラール・ペルス氏がシャトーを購入後、より一層味わいに磨きがかかり、モダンでより重厚なワインへと変化した。

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ B (14シャトー)

  1. シャトー・ボーセジュール
  2. シャトー・ボーセジュール・ベコ
  3. シャトー・ベレール・モナンジュ
  4. シャトー・カノン
  5. シャトー・カノン・ラ・ガフリエール
  6. シャトー・フィジャック
  7. クロ・フルテ
  8. シャトー・ラ・ガフリエール
  9. シャトー・ラルシ・デュカス
  10. シャトー・ラ・モンドット
  11. シャトー・パヴィ・マカン
  12. シャトー・トロロン・モンド
  13. シャトー・トロットヴィエイユ
  14. シャトー・ヴァランドロー

グラン・クリュ・クラッセ(64シャトー)

  1. シャトー・ラロゼ
  2. シャトー・バレスタール・ラ・トネル
  3. シャトー・バルド・オー
  4. シャトー・ベルフォン・ベルシエ
  5. シャトー・べルヴュ
  6. シャトー・ベルリケ
  7. シャトー・カデ・ボン
  8. シャトー・カップ・ド・ムルラン
  9. シャトー・ル・シャトレ
  10. シャトー・ショーヴァン
  11. シャトー・クロ・ド・サルプ
  12. シャトー・ラ・クロット
  13. シャトー・ラ・コマンドリー
  14. シャトー・コルバン
  15. シャトー・コート・ド・バロー
  16. シャトー・ラ・クスポード
  17. シャトー・ダッソー
  18. シャトー・デステュ―
  19. シャトー・ラ・ドミニク
  20. シャトー・フォジェール
  21. シャトー・フォリ・ド・スシャール
  22. シャトー・ド・フェラン
  23. シャトー・フルール・カルディナル
  24. シャトー・ラ・フルール・モランジュ
  25. シャトー・フォンブロージュ
  26. シャトー・フォンプレガード
  27. シャトー・フォンロック
  28. シャトー・フラン・メーヌ
  29. シャトー・グラン・コルバン
  30. シャトー・グラン・コルバン・デスパーニュ
  31. シャトー・グラン・メーヌ
  32. シャトー・レ・グランド・ミュライユ
  33. シャトー・グラン・ポンテ
  34. シャトー・ギュアデ
  35. シャトー・オー・サルプ
  36. クロ・デ・ジャコバン
  37. クーヴァン・デ・ジャコバン
  38. シャトー・ジャン・フォール
  39. シャトー・ラニオット
  40. シャトー・ラルマンド
  41. シャトー・ラロック
  42. シャトー・ラローズ
  43. クロ・ラ・マドレーヌ
  44. シャトー・ラ・マルゼル
  45. シャトー・モンブスケ
  46. シャトー・ムーラン・デュ・カデ
  47. クロ・ド・ロラトワール
  48. シャトー・パヴィ・デュセス
  49. シャトー ペビ・フォジェール
  50. シャトー・プティ・フォリ・ド・スタール
  51. シャトー・ド・プレサック
  52. シャトー・ル・プリウレ
  53. シャトー・キノー・ランクロ
  54. シャトー・リポー
  55. シャトー・ロシュベル
  56. シャトー・サン・ジョルジュ・コート・パヴィ
  57. クロ・サン・マルタン
  58. シャトー・サンソネ
  59. シャトー・ラ・セール
  60. シャトー・スタール
  61. シャトー・テルトル・ドーゲイ
  62. シャトー・ラ・トゥール・フィジャック
  63. シャトー・ヴィルモリーヌ
  64. シャトー・ヨン・フィジャック

尚、格付シャトーや 2 大地区以外からも“シンデレラワイン”“ガレージワイン”と称される評価の高いワインが作られています。

ミッシェル・ローランがコンサルしているシャトーが多く、濃厚で若くしてタンニンがまろやか、樽やチョコレート風味がそれらのワインに共通しています。

極く少生産ゆえ価格もうなぎ登りです。

今回のおすすめワイン

品種表記:カベルネソーヴィニヨンCS、メルロM、カベルネフランCF、プティヴェルド PV、マルベックM

2019年 Ch. Clos René クロ・ルネ AOCポムロール M70%、CF20%、M10%
シャトー・ランクロに隣接するミッシェル・ローランがコンサルした大人気ポムロール。

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2019年 Ch. Clos Fourtet クロ・フルテ AOC サンテミリオン M80%、CS15%、CF5%
ステファン・ドゥルノンクール氏がコンサルした「クラスマン」二つ星のサンテミリオンのトップシャトー。

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2018年 Ch. Pavie MacQuin パヴィ・マカン AOCサンテミリオン M78%、CF20%、CS2% 
ニコラ・ティエポン氏と名醸造家ステファン・デュルノンクール氏とのコンビによる最高傑作!

シャトー・パヴィ・マカン[2018](赤ワイン)[750ml][フランス][ボルドー][サン・テミリオン][フルボディ][辛口]

価格:11,880円
(2023/2/24 00:49時点)
感想(0件)

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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